どうぶつたちの病院沖縄について

ヤンバルクイナを放鳥しました。

2013年9月 9日 15:16

8月28日、クイナダイヤル(※)が鳴り響きました。
  ※ヤンバルクイナ救急ダイヤル。道路で傷ついたヤンバルクイナを発見したり、死体をみつけたときにかけてもらう番号です。
「はい、クイナダイヤルです!どうしましたか?」
重体ではありませんように・・・と祈りつつ電話をとりました。
すると、やんばるを訪れた方が避けきれずに車ではねてしまい、
立ち上がることができず、目もあまり開いていない様子。
しかもこのヤンバルクイナは2羽一緒にいてその内の1羽をはねてしまったということ。
電話をくれたのは近くにいた環境省のレンジャーの方。
「すぐに連れてきてください!」
環境省のレンジャーも協力して、やんばるからうるま市までの最短・緊急搬送です。

到着したヤンバルクイナは頭に血がついて腫れており、
全身の力が入らず、かろうじて立つことができる状態でした。
頭を強く打っているので急変もありえるため酸素吸入も行える『集中治療室』で治療を開始しました。
するとすこしずつ元気を取り戻し、翌日には自分で魚や虫を食べることができるようになりました。
その後、順調に回復し、事故に遭ってちょうど1週間で野生復帰が可能となりました。

朝早くうるま市を出て、交通事故のあったやんばるへ向かいました。
途中、車窓からやんばるの森を見ながらヤンバルクイナは何を考えていたのでしょうか。
ケージの中をそっと覗くと、こちらを向いた顔は入院中には見たことのない優しい表情のように見えました。

そして、車は事故現場に到着。いよいよ放鳥です。
カラスも車も来ない道路脇の森に入り、カメラを構えてそっとドアを開けました。
ヤンバルクイナはぴょんっと飛び出して、あっという間に走り抜けていきました。

そしてしばらくすると、『キョキョキョキョキョキョ・・・』とデュエットの声が聞こえてきました。
もう事故に遭わず仲良く森で暮らしていけますように。


近年、轢いてしまった方からの連絡により迅速な救護が可能となった例が増えています。
やんばるの道路は時速30kmでもヤンバルクイナを轢いてしまうことがあります。
気をつけて走っていても、万が一ヤンバルクイナを轢いてしまったときには
落ち着いてクイナダイヤルや環境省に連絡してください。
今回の個体のように元気に森に帰ることができるかもしれません。



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