どうぶつたちの病院沖縄について

ヒヨコのペローシス

2014年12月17日 18:58

『親鳥に踏まれてケガをしたヒヨコがいる』と西表島の小中学校から連絡がありました。
数日後、来院したヒヨコを診察すると、両脚を大きく開き、胸を地面につけてバタバタしています。
当然歩くことはできません。
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診察によりペローシスという病気であることがわかりました。

ペローシスとは、親鳥のエサの栄養バランスが悪いことや、遺伝により、生まれつき脚に異常をもって生まれる病気です。脚の骨が捻じれてしまうため、開脚して、立ち上がることができません。骨の変形のため脚の関節の脱臼を起こすこともあります。
また、立ち上がれず胸が地面で圧迫され、胸郭が浅く変形してしまうこともあります。
このヒヨコは、ペローシスのほかに、異常な小さい指も生えていました。

生後間もない場合は、関節がまだ柔らかく未完成なので、脚を正しい位置で固定することで治癒できることがあります。
すでに成長し、関節が完成している場合は、固定では治癒できず、大掛かりな手術が必要となります。
このヒヨコをこのまま放置すれば、自力で立ち上がることはできず、普通の生活どころか、生きること自体が難しいことも考えられます。
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治療開始時はすでに生後一か月で、うまく治癒するかどうか、ぎりぎりのラインでした。
変形した足を正しい位置で固定するという治療には、ヒヨコにとってストレスを伴います。ヒヨコのちょっとした異常を見逃さないよう、児童たちは毎日観察をしてくれました。

治療開始後1週間目(再診)
脚の固定を取ってみると・・・一人で立てなかったヒヨコが立っています!!
このまま順調に治癒するという期待が大きくなってきました。

治療開始後2週間目(再診)
いよいよ治療結果を判定します。ヒヨコは成長し、黄色かった羽は白さを帯びてきました。脚に装着していた固定を外し、ヒヨコをそっと床に降ろすと・・・ヒヨコはしっかり自分の脚で立ち、歩き出しました。エサを近くにおくと、さっそくおいしそうについばんでいます。
左脚には若干の異常が残っていますが、目標だった普通の生活をするには問題ない程度で、とても元気です。
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これからエサをたくさん食べ、大きく立派なニワトリになってくれることを願っています。そして、このヒヨコの変化を通して、児童たちが何かを感じてくれたのではないかと思います。

(学校飼育動物については協力的な動物病院が多いものです。飼育動物に何か異常があった場合は、まず動物病院に相談されることをお勧めします。)

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