どうぶつたちの病院沖縄について

ヤンバルクイナの赤ちゃん、一大事!

2013年4月19日 15:42

国頭村在住のスタッフより届いた、
子育て真っ最中のヤンバルクイナとの出会いのひとコマをご紹介します。

               * * * * *

夜の10:30頃、仕事から戻りほっと一息ついていると、
ヤンバルクイナの訴えるような「キッ キッ キッ...」という鳴き声と
ヒナの悲鳴のような「ピーィ ピーィ ピーィ」という声が、
閉め切った自宅の中からでも聞こえるボリュームで耳に入ってきました。


私はヤンバルクイナ親子の只ならぬ叫びに動揺しながら、
静かに、でも急いで懐中電灯を片手にヒナの声のする方に向かいました。
声はすぐ近くの丘の方から聞こえてきたため、そっと近づいてみました。
すると、ライトの明かりにサッと動くヤンバルクイナ成鳥の姿と、
成鳥がいた石垣の約1m下に落ちている孵化して1週間くらいの真っ黒いヒナが1羽浮かび上がりました。

ヒナの声はとても元気で力強く、
私の存在に気づいてすかさず身を隠そうと、親鳥とは反対の方向へ走り出そうとしました。
親鳥はヒナに「クックックックッ」と警戒の声を出した後、
私には「コココココ...」と威嚇の声を発し、
私から2mも離れないところでそれ以上逃げることなくヒナの心配をしていました。

まずは親子を驚かさないように、その場を離れて、

手頃な細長い板を持ってすぐに現場に戻りました。
ヒナには少し傾斜が急でデコボコした石垣にスロープをつけるためです。
そのとき、ヒナと親鳥が離ればなれにならず同じ場所にいるのをばっちり確認し、
すばやくスロープをかけて自宅に戻りました。

自宅に戻り、現場に一番近い窓のそばで静かにして、
丘の方から聞こえてくるヒナと親鳥の声に耳を澄ませていると、
しばらくして聞こえなくなりました。

今朝、再び現場を見に行くと、スロープにした板に小さな糞の落とし物が一つありました。
きっと、ちゃんと登ったんだと思い、ホッとしたのでした。

誰も知らない、やんばるの小さな集落での大事件でした。
雛.pngのサムネイル画像



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